P50

$P_{50}$

脆弱性曲線の回帰式から得られる、通水度の損失率(PLC)が50%となるときの水ポテンシャルの値。キャビテーション抵抗性(またはエンボリズム抵抗性)を種間で比較したり種内で器官間比較をする際に広く用いられる。また、キャビテーションに対する木部の安全性を評価する通水安全域(hydraulic_safety_margin)の算出の際にも用いられる。PLCが88%と12%になるときの水ポテンシャルも、$P_{88}$、$P_{12}$と表記し、致死的な乾燥レベルやキャビテーション発生の閾値の指標として用いられる。脆弱性曲線をシグモイド型の関数で回帰した場合には、グラフの変曲点(PLC=50%時)の接線がそれぞれPLC=0%、PLC=100%のとき水ポテンシャルのときにPLCが88%と12%になることにちなみ、$P_{88}$、$P_{12}$が使われる。ただし$P_{88}$は致命的なキャビテーションのレベルの指標としていたが、近年の研究から必ずしも水ポテンシャルが$P_{88}$に達しても個体は枯死するわけではないとの報告が増えつつある。


  1. Domec J-C, Gartner BL (2001) Cavitation and water storage capacity in bole xylem segments of mature and young Douglas-fir trees. Trees 15:204-214